出産内祝いの熨斗（のし）の書き方やマナーについて徹底解説

最初に抑えておきたい熨斗（のし）の基礎知識

出産内祝いなどのお祝い事の贈り物に、熨斗（のし）がつけられます。そもそも熨斗には、どのような意味があるのでしょうか？ここではのしの概要や由来をはじめ、水引やのし紙、のし上やのし下といったのしに関する基礎知識を解説します。

熨斗（のし）

熨斗（のし）とは、のし紙の中央右上にある飾りのことです。その昔、薄く伸ばした「熨斗鮑(のしあわび)」を贈り物に添えたことが由来となっています。現代では、のし紙にプリントされた印刷のしが一般的です。のしの位置は、のし紙の右上中央になります。

水引

水引とは、贈り物の包装紙に付ける飾り紐のことです。主に結納品や贈答品ののし飾り、正月飾りなどに使われ、のしと同様にあらかじめ印刷されたものが一般的となっています。

のし紙

のしと水引が印刷された紙がのし紙であり、一般的にいわれるのしとは、贈り物にかけるのし紙のことです。ただしのし紙は、包装紙で包む手間や時間を省く略式の贈答体裁であるため、贈り物の意味や相手次第では、失礼に当たるケースもあります。

のし上

のし上とは、出産祝いや結婚祝いなど、贈り物の用途を記載する部分です。一般的な祝い事の場合「御祝」と書き、結婚祝いの場合「御結婚御祝」「寿」などと書きます。のし上は「表書き」ともいわれます。

のし下

贈り主の名前を記載する部分がのし下です。一般的な祝い事では「フルネーム」を書き、出産内祝いでは「子どもの名前」だけを書くようになっており、名前入れともいわれます。

出産内祝いの水引は「紅白蝶結び」が基本

冠婚葬祭でのし袋を使用する場合、紅白や金銀などさまざまな水引が存在します。中でも出産祝いのお返しである出産内祝いでは、紅白蝶結びを使用するのがよいとされています。なぜ紅白蝶結びがよいとされるのか、特別なケースでは花結びを使用すべき理由と合わせて解説します。

紅白蝶結びが基本の理由とは？

紅白蝶結びの水引が出産内祝いに最適とされる理由は「何度あっても喜ばしいこと」に使われる結び方だからです。蝶結びは簡単にほどけ何度でも結び直せることから、出産や進学、昇進などの繰り返してよい慶事に適しています。特に出産は家庭にとって嬉しい節目であり「これからの幸せが続くように」という願いも込められます。そのため、紅白蝶結びの水引は形式だけでなく、真心を伝える意味でもふさわしい選択です。

花結びを選ぶべき特別なケース

花結び（蝶結び）は、全国的に出産や進学などの「繰り返してもよい慶事」に使われます。特に関西地方や一部の地域では、冠婚葬祭の水引の使い分けに強いこだわりがあり、花結びの選び方にも地域色が表れます。たとえば出産内祝いでは紅白の花結びを使うことが正式とされることが多く、金銀の水引は控えめな印象を与えるため避ける傾向があります。地域の風習に合わせて水引の色や形を選ぶことが丁寧なマナーです。

出産内祝いの、のしの書き方

のしの書き方には、正しい記載方法があります。のし上やのし下の書き方はもちろんのこと、書く道具にも注意が必要です。ここからは、出産祝いにふさわしいのしの書き方を見ていきましょう。

のし上には「内祝」と書くのが一般的

一般的に出産内祝いののし上には「内祝」「出産内祝」と書きます。親族に贈る際は「御祝」と書いても問題ありません。出産祝いのお返しに当たる出産内祝いの場合「幸せのお裾分け」という意味になるため、のし上に「御礼」と書かないようにしてください。

「出産内祝」「出産乃内祝」など表書きのバリエーション

出産内祝いの表書きには「内祝」「出産内祝」「御礼」などのバリエーションがあります。一般的には「内祝」が最も広く使われ、出産に限らず慶事全般に適しています。「出産内祝」は出産に特化した丁寧な表現で、親族や年長者などフォーマルな相手に書くときに最適です。「御礼」は目上の方や会社関係に使われることがありますが、ややビジネス的な印象を与える点に注意が必要です。地域や相手との関係性に応じて、過不足のない表現を選ぶのがマナーとされます。

のし下には赤ちゃんの名前を書きましょう

出産内祝いののし下には、赤ちゃんの名前だけを書きます。これは出産祝いの送り主に対し、赤ちゃんからの感謝や名前をお披露目する意味があるからです。漢字の場合、必ずふりがなをつけてください。また双子や三つ子などであれば、生まれた順に右から名前を記載しましょう。

命名札（短冊）の使い方と記入例

命名札は、出産内祝いや贈り物に添えて赤ちゃんの名前や誕生日をお披露目するための札です。親しい人へ名前を正式に知らせる役割があり、内祝いに添えることで感謝と喜びがより丁寧に伝えられます。使い方としては、のし紙やギフトボックスに貼るか、メッセージカードと一緒に同封します。一般的な記入例は次の形式です。

「命名　〇〇（ふりがな）　令和〇年〇月〇日生」

加えて、画像や手書きのものを添えると、より記念性が高まり喜ばれます。

書くときは濃い墨の毛筆か筆ペンで

のしを書くときは、濃い黒の毛筆や筆ペンを使ってください。一般的にボールペンは、マナー違反とされています。サインペンを使うことも少なくありませんが、できるだけ筆ペンで書くようにしてください。

のし書きで避けるべき失敗とミス

のし書きをする際にしやすい間違いや避けるべきポイントとして、次の点が挙げられます。

・表書きに不適切な言葉を使う:「御出産御祝」を「御主産祝」とするなど
・水引の種類を間違える:蝶結び・花結びではなく結び切りを選ぶと「一度きりの慶事」という意味になる
・筆圧が弱くて薄い文字を書く:祝いの印象がぼやけてしまい、丁寧さに欠けた印象を与える
・字の大きさが不揃い:表書きと名前のサイズ差が極端だと見映えが悪くなる
・名前の位置がずれている:中心から偏ると不格好な印象になる

丁寧な筆致とバランスの取れた配置で、礼儀正しさが伝わります。

のしのかけ方は「内のし」と「外のし」の2種類

贈り物にのしをかける際、そのかけ方にもマナーがあります。それが「内のし」と「外のし」です。ここからは、内のしと外のしの概要や特徴を解説します。

出産内祝いでは「内のし」が一般的

内のしとは、のしを付けた贈り物に上から包装するかけ方です。出産内祝いの場合、内のしが一般的となっています。相手に贈り物を渡す際に表書きが見えないため、控えめな印象となる点が特徴です。贈り物を配送する場合、のしや品に傷がつかないことから内のしが選ばれます。

内のしを選ぶメリットと使用シーン

内のしは、贈り物に直接のしをかけてその上から包装紙で包む形式で、控えめな印象を与えたいときに適しています。特に出産祝いを宅配で送る場合や、目上の方への贈り物として選ばれることが多いです。包装紙で保護されるため、配送中にのしが汚れたり破れたりする心配が少なく、丁寧で配慮ある印象を与えます。また祝いの気持ちはしっかり伝えつつ、主張しすぎないため、相手に負担を感じさせない贈り方として好まれます。

包装の上からのしをかけるのが「外のし」

外のしとは、包装した贈り物の上にのしを付けるかけ方です。外観から表書きが確認できるため、贈り物の目的や贈り主がすぐに分かる点が外のしの特徴です。相手に直接贈り物を渡す場合や、結婚・出産祝いの場合は、外のしが適切です。

外のしが適している場合とは？

外のしは、包装紙の外側にのしをかける形式で、贈り物の用途が一目で分かるため、直接手渡しする場合に適しています。表書きが見えることで「お祝いの気持ち」を明確に伝えられ、親しい友人や職場関係者への贈答にも好まれます。特に関東などでは外のしが一般的とされる地域もあり、地域の慣習に合わせて選ぶことが大切です。訪問時や対面でのお祝いシーンでは、外のしにすることで礼儀正しさと誠意がしっかりと伝えられます。

のしなしでも良いケースはある？

のしが不要な場合や省略できるケースには、親しい間柄で形式にこだわらないときや、カジュアルな贈り方をしたいときが挙げられます。たとえば親友への気軽なプレゼントや、あらたまった形を避けたい兄弟姉妹への出産祝い・出産内祝いでは、のしを省略してラッピングやメッセージカードで気持ちを伝えることが一般的です。また海外の方への贈答では、日本特有ののし文化が伝わりにくいため、代わりにカードやギフトタグで祝意を表すほうが自然で喜ばれます。相手との関係性や地域性を意識した柔軟な対応が大切です。

出産内祝いに迷ったら大丸松坂屋のギフトがおすすめ

出産内祝いでは現金だけでなく、ギフトやアイテムといった形で贈る方法もおすすめです。しかしそこで問題となるのが、何を贈るのかということです。大丸松坂屋で人気の高い出産内祝いのギフトや予算別おすすめ商品について紹介します。

予算別おすすめ商品の選び方

出産内祝いの商品選びで迷ったときは、予算別に何を贈るか検討することが大切です。3,000～10,000円の範囲で予算を考えている場合は、次の商品がおすすめです。

・【3,000円】焼き菓子セット、タオル、カフェギフト
・【5,000円】名入れカタログギフト、高品質食器セット
・【10,000円】ブランドの食品ギフト、名入れインテリアグッズ、家族向けカタログギフト

出産内祝いは、いただいた金額の1/2〜1/3程度で返すのが目安とされています。予算に応じて実用性と記念性を両立し、相手の生活スタイルに合った品を選ぶと喜ばれます。

よくある質問

出産内祝いの表書きは何と書くべきですか？

出産内祝いの表書きは「内祝」が最も一般的で、出産に限らず慶事全般に使える表現です。より丁寧に表現したい場合は「出産内祝」と書くこともあります。また目上の方や会社関係には「御礼」を使う場合もありますが、こちらはやや改まった印象になります。親族への贈り物でも「内祝」で問題なく、下段には赤ちゃんの名前（ふりがな付き）を記入し、誕生の報告も兼ねるのが一般的です。

出産内祝いは内のしと外のしどちらを選ぶべきですか？

出産内祝いでは、基本的に内のしをかけるのが一般的です。包装紙の内側にのしをかけることで、控えめで上品な印象を与え、特に配送で贈る場合はのしが傷みにくく安心です。一方、直接手渡しする場合や、表書きをはっきり見せたい場面では外のしも適しています。相手との関係性や贈り方に応じて、状況にふさわしい形式を選びましょう。

のしのマナーを知ることで、相手に喜ばれる出産内祝いを贈ることができます

のし紙の中央右上にある飾りが熨斗（のし）です。出産内祝いに適したのしのかけ方は、内のしが一般的となっています。水引は蝶結びや花結びを選び、のし上やのし下を書く際は、濃い墨の毛筆か筆ペンを使うといった注意が必要です。相手に贈るタイミングは、生後1ヶ月前後を目安にしてください。また予算の相場は、頂いた出産祝いの1/2～1/3程度を考えておきましょう。ギフト選びに迷ったときは、大丸松坂屋オンラインストアの出産祝い特集がお役に立つはずです。